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ネットワークエンジニアとは?(3.細分化されたネットワークエンジニアの問題)

更新日:2019年12月23日

 細分化されたネットワークエンジニアですが、多くの問題点があります。ここでは、そうした問題点を説明していきます。


 前述したようにネットワークエンジニアはその呼称とは反対に担当すべき領域がますます広がっています。また反比例して、ネットワークやシステム全般に関する正しい知識を有したエンジニアが不足していきます。利用者が見ているのは、表面上の利便性、操作性、安定性などであり、それをどういった製品やオープンソースを組み合えわせて実現するのかを、知っているエンジニアが不足していきます。

 ITを使ったビジネスをしている企業にはそれぞれに特化したエンジニアがおり、また黎明期のネットワークエンジニアを経験している人がマネージメントをしているケースが多く、自らの専門性によって、プロジェクト運営に大きな支障をきたしません。そうした企業のエンジニアは自らの特化した知識を売りにして、企業間渡り歩くことで十分な収入を得ることができるようになります。一方で、ネットワークソリューションを提供している企業では、業界的な孫受け、ひ孫受けなどの商習慣や派遣によって、所属会社と業務を行う先の業務が分断されています。これによって、エンジニアリングのコストが中間企業によって搾取を受け、エンジニア本人に渡るお金を少なくしています。

 現在でも中小T企業の殆どは、エンジニア派遣を通して、売上・利益を得て、社員への還元は著しく少ない傾向にあります。法改正等によって人件費率の公開なども行われていますが、ユーザ企業や大手IT企業との実質手取り賃金の格差は依然として存在しています。

 私はこうした背景には、1990年代の不況によって、大手に就職できなかったエンジニアたちが、安易に日銭を稼ぐ手段として派遣が常態化し、固定費の増加を避けたい企業側のニーズとも合致したことによって生まれたと推測しています。2000年代に入っても、派遣社員が10名いれば、営業兼社長として企業運営ができることから、IT企業の数は増大しています。

 ネットワークエンジニアの職種が細分化されたことによって、知識の習得に多くの時間を要しなくなり、派遣で半年程度キャリアを積むと、ある程度の戦力になったことも要因だと思います。

 ユーザ企業から発注された案件は、大手IT企業である元請一社では要員が不足していることから、多数の下請け、その下請けに業務委託という名目で発注され、人的リソースを吸い上げてプロジェクトの運営が図られていきます。高度な知識を有する人とエンジニアかどうかも疑わしいドキュメント作成要員やテスト要員などにわかれており、再委託、再々委託の社員はいくら年数を積んでも、与えられる業務によって知識を拡充させていくことができなくなり、結果として給与が安く抑えられるという傾向があります。

 前述したように幅広い知識や専門性を持ったエンジニアは不足しています。しかも、案件商流で下流に位置する企業のエンジニアはそうした知識や経験を習得する機会は訪れず、いつまで立ってもスキルアップが図られない状況です。さらに、仮にひ孫受けをなくすように元請けが働きかけても、多数の中小IT企業からくる要員を各々に管理する負荷を嫌い、また情報漏えいリスクなどを鑑みて、結果として大手IT企業をその下請けとして選ぶ傾向があります。したがって、中小IT企業の多くは、大手IT企業の開拓も容易ではなく、現在のような多重請負構造に甘んじてしまっています。

 また、仮に特定の技術やスキルを有することでオンリーワンとなったとしても、IT業界の進歩によって、すぐにその知識やスキルは陳腐化し、その優位性を維持できなくなります。顕著な例では、業界リーダーであるCisco社の競合として、設立したFortigate社、SonicWall社、Netscreen社がなどが典型で、一時期コスト面や性能面で新しい市場を開拓し、リーダーとなるものの、大手競合他社の新製品に徐々に市場を奪われ、最終的には買収されていきます。

 これが現在のIT企業が抱える問題点です。

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